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2012年5月26日 (土)

「都市」の音楽

最近、見たい番組があったのでWOWOWに再加入したら

ちょうどその晩、野宮真貴さんの30周年ライブが放送されていた。

面白い試みだなと思ったのは、開演が夜7時だったことにちなみ

オープニングは「東京は夜の7時」で、その曲のときだけ

観客はケイタイでツイートオッケーになっていたことだった。

それは、野宮さん自身がライブの1~2ヶ月前からツイッターで

「東京は夜の7時」「札幌は夜の7時」と毎日、書き込んで

写真を添付していたことから、当日は歌うことでそれができない

彼女自身のアイデアだそうな。

歌と同時に一斉にフラッシュがたかれ始めたので

「30周年だから、今日だけカメラ大丈夫なのかな?」と思っていたら

MCで彼女が、その理由を話してくれたのだった。

ピチカート・ファイブの曲にハマるほど、聴いていたわけではないけど

ミュージックビデオも音楽も、本当にスタイリッシュで

「みんなのうた」で放送された「メッセージ・ソング」も好きだった。

田舎出身の私がピチカートファイブのような「都会」っぽい曲に

惹かれはじめたきっかけは、高校のときに友達が貸してくれた

大貫妙子さんのカセットテープだっただろうか。

女子高では、オフコースとチューリップが全盛の時代で

塾が一緒の男子高生は、ザ・ポリスなど洋楽まっさかりの頃。

NHK-FMの「サウンド・ストリート」を聴いて

早く、この町から出たいとばかり、夢想していたっけ。

DOUBLE、m-floなどを好むのも、吉田美奈子さんのライブへ

東京まで出かけてしまうのも、私自身が「都市」の生まれではないからかも。

レイ・ハラカミ、冨田ラボ、キリンジ、土岐麻子さん、ハナレグミと

いまでも耳に馴染むのは、東京の夜景が似合いそうなものばかり。

それにしても、野宮さん、御年・52歳には見えない、輝くほどの美しさ。

バービー人形をそのまま人間にしたような、スタイルとファッションと

ずっと変わらない、柔らかな歌がとても素敵だった。

あー。ライブ、行きたい。

2012年5月24日 (木)

「あるデモ」への違和感

東日本大震災のがれき処理が被災各県でなかなか進まず

日本全国で処理を助力してほしいと、政府は動いている。

わが町の隣り、北九州市は近年「環境都市宣言」をうたっており

実際、ゴミ処理場と発電所を融合させた施設なども造って

今回のがれき処理にも、名乗りを上げた。

数日前から、がれき処理による環境汚染がないか調べるための

調査処分を行おうと被災地のがれきを搬送してきたのだが

がれきの広域処分に反対する市民グループが全国から集結し

トラックを囲んだり、市役所におしかけるなどしているらしい。

ツイッターでフォローしているフリージャーナリストや

「反原発行動」で一躍注目された俳優や著名人などが

この行動に参加したり、現地の人たちを応援したりしているのだが。

なんだろう?私は彼らの活動に深く、強く違和感を持たざるをえない。

俳優は「がれきは動かすな、地元で処分」と書いていたが

家庭ゴミの数百年分ともいわれる、がれきは地元で処分できないからこそ

困っているわけで、がれきが残っている限り、被災地再建もまた遠くなる。

がれきから放射能物質が出るらしいというのが、彼らの行動理念のようだが

人間が一生浴びても死なない程度の量しか出ないとは推測しないのか。

東京都では既に、がれき処分を始めているようだけれど

東京で騒動が起こらないのは、がれきをどこかに埋めているからなのか。

たとえば、がれきを埋めているとして、放射能汚染の心配はないのか。

なぜ、反対運動の人々は北九州市に集まってきたのか。

そして、ツイッターで市長や役所の人をさも悪人のように書きつのるのは

彼らの「正義」がやらせている、正しいことなのか。

誰がどういう方法でやっても、がれきの処理には年単位の時間と

日本全国の助けが必要とは想像しないのか。

私は「正義」という、わけのわからないものが、とても怖い。

なぜなら、彼らはその信条によって引き起こす行動を

絶対に「善」と信じ、他人の考えを寄せ付けないから。

膨大ながれきの中に、被災者の時間が奪われていかないよう

1億人が少しずつ、何かを背負ってもしかるべきだとも思わず

独自の理論と相手をねじふせる論法で動く人たちに

70年代の学生運動闘士の影を見る私は、ただの臆病者だろうか。

たぶん、そうなのかもしれない。

2012年5月21日 (月)

「ブラック・スワン」

映画「ブラック・スワン」 2010年 アメリカ映画

主演のナタリー・ポートマンさんがアカデミー賞最優秀主演女優賞に

輝いた、サイコホラーっぽい作品。

ニューヨークの名門バレエ団で次期プリマに選ばれたヒロインは

自分の持ってない(黒鳥)の演技に悩むうち、幻覚を見るようになり

「清楚な自分」というセルフイメージを壊そうとするうちに

自分自身の心身を実際に破壊してしまう・・そんな物語。

ナタリー・ポートマンといえば、「レオン」でのデビュー以来

「スターウォーズ」シリーズでのお姫様役もあったりして

なかなか、(清楚)イメージ以外の役に臨んでも今一歩という感じだったが

この作品では、清らかな内面が母親の過干渉や

プリマとしてデビューするプレッシャーによって圧迫されていく様子を

完璧に作り上げられた、バレリーナの肉体をまとい

完全に演じていて、幻覚か現実かわからない彼女のイメージを

共有するうち、彼女の迷走の深みが伝わってきて、せつなかった。

俳優やダンサーなど、同じように表現者として活躍する人が見れば

また違う視点で、ヒロインの苦悩を分析できるのだろうが

残念ながらオーディエンスでしかない私には、理解が足りないかもしれない。

ただ、バレリーナの夢を妊娠であきらめたことを口実に

20代の娘をまるで小学生のように世話し、心配し、ケイタイ電話に

電話しまくる母親の姿は自分の親と少しダブり、嫌~な気分になった。

それにしても、ポートマンさんの肉体、本物のバレリーナだったな。

そして、次第に狂気にまみれていく姿は、オスカーにふさわしく

繊細でいて美しい、素晴らしいプリマそのもの。

プライベートでは、この映画の振付師と結婚し、母にもなった彼女。

次はどんな新境地で、観客を楽しませてくれるだろうか。

エンドロールが終わってもまだ、さまざまな何かを考えさせてくれる

そんな映画。

2012年5月16日 (水)

新幹線の風景

あるラジオで、カンニング竹山さんが怒っていた。

新幹線で大阪から東京まで移動していたところ

あまりにも常識はずれな客がいて、必死で怒りを抑えたという。

グリーン車に乗っていたその家族は、パーサーに対し

「このホテルに行くんやけど、品川と東京どっちが近いんや」

と偉そうな態度で、品川駅の数分前にたずねてきたそうな。

パーサーのお姉さんが「鉄道以外のことはわかりかねますので」

と応答したところ、罵声を浴びせながら品川駅で降りたという。

そのちょっと前に、切符が所在不明になって同じパーサーの人に

親身になって切符を探してもらっていたこともあり

竹山さんは、その家族に余計イラっとしたのだと思う。

ま、でも、私が同じ車両に乗っていても、イラっとしたに違いない。

(自分が泊まるホテルの最寄駅くらい、調べとけ)

と思っただろうし、(品のない客はグリーンに乗るな)とも考えたろう。

私が電車で困惑するのは、3人グループ+私なのに

椅子を回転させて、4人グループの席にしてまう、おばはんグループ。

前に座った疲労困憊ビジネスマンが限度ぎりぎりまで席を倒し

熟睡するため、お弁当が食べられないケースも弱ってしまう。

子どもは嫌いじゃないけれど、3時間ずーーーと泣いている赤ちゃんには

申し訳ないけれど、ため息が出てしまったり。

ビジネスマンや芸人さんは、新幹線を使うことも多いだろうから

「なんじゃそれ」と感じる、アホ客に出会う確率も大きいだろう。

ターミナル駅の待合室やカフェで

カタカタとパソコンを叩く、たっくさんの男性たちを見るにつけ

日本をしょって立つ彼らに、ストレスが小さめでありますようにと

心の中で願ったりする、初夏の福岡駅だった。

2012年5月14日 (月)

ジブリ映画の好み

5月11日金曜日夜、日本テレビ系で「風の谷のナウシカ」が

最新リマスター版として、放送された。

ニコニコ動画では、テレビで映画を見ながらメンバーでチャットする

という催しも開かれていたりして、ツイッターのタイムラインも

ナウシカ関連でかなり、埋まっていて面白かった。

ジブリ映画は「ポニョ」以降は見てない。

金曜ロードショーで頻繁に再放送されるので、見ている方だと思うが

よーく考えてみると、劇場で見たのは「千と千尋の神隠し」だけ。

あとは、テレビでのオンエアだったり、DVDを借りたりしている。

そんな私がジブリ作品で一番好きなのは「おもひでぽろぽろ」。

高畑勲監督のものだが、何度見てもエンドロールで涙はちょちょぎれ。

宮崎監督もので好きなのは「紅の豚」。

私が好きな映画は昔から、ちょっとした佳作というのが多い。

「もののけ姫」もアニメより、アニメの数年前に出た絵本が好きだった。

それにしても、宮崎監督の辞書に「引退」という言葉はなさそうな。

「ポニョ」以降の作品もチェックしてみよう。

2012年5月 3日 (木)

「Wの悲劇」

映画「Wの悲劇」 1984年 澤井信一郎監督

「野性の証明」で鮮烈なデビューをし、以降

角川映画を牽引する大スターとなっていく、薬師丸ひろ子さん主演

夏樹静子さん原作の映画。

84年といえば、大学の一回生だった私だが

薬師丸さんとは一歳下という、ほぼ同じ年代ということもあり

映画の中の劇団研究生であるヒロインには、かなり感情移入した。

演劇の世界で大きくなりたいと願うヒロインのように

何か思い描いた夢があったわけではないけれど

まだ、何者でもない自分への苛立ち、居心地の悪い大学への腹立ち

誰ともきちんと恋愛したことない経験値の浅さへの情けなさなど

いろいろと重なる部分があったのは確かだった。

けれど、この映画の見所は三田佳子さん演じる、劇団のスター女優の

美しさと狡猾さと欲深さがないまぜになった、圧倒的な存在感だと思う。

また、ある犯罪の身代わりになるヒロインの現実と

劇団の芝居が同じく、身代わり犯罪ものと、二重構造になっているのも

ヒロインのさまざまな表情が引き出されて、面白い。

最後にはスキャンダルに巻き込まれながらも、恋人を頼らず

自分の足で歩いていこうと決意するヒロインの姿がすがすがしい。

彼と別れるとき、カーテンコールを模したお辞儀をした彼女に

なぜか、泣けたのを思い出す。

あの頃、映画は1本いくらだったのだろう。

ビデオデッキもなく、レンタルビデオ屋もスタートしたてだった当時

一人で過ごす2時間ほどのひとときは、私の唯一の居場所だった。

2012年5月 1日 (火)

「華の乱」

映画「華の乱」 深作欣ニ監督 1988年

2012年4月28日、BSで放送されていた「華の乱」。

大学時代、ジャンルを問わず映画を浴びていた私は

この映画もたしか、ナビオ阪急の上の映画館で見た。

与謝野晶子に吉永小百合さん、夫の寛に緒形拳さん

有島武郎に松田優作さんなど、豪華キャストに記憶はあったものの

40代になった今あらためて見ると、フィルムに定着した

若々しい俳優陣、特に女優さんたちの美しさに引き込まれる。

あの頃、「夢千代日記」「天国への階段」など

吉永さん主演の映画を頻繁に見ていた感じがするが

40代半ばとは思えない、艶っぽさと品の良さにドキドキする。

そして、亡くなる直前に出演している松田優作氏の

死にとりつかれた作家の風情も独特の持ち味で演じられており

若い頃はさして、印象に残らなかった作品だったが

自分も中年となった今では、11人の子どもと甲斐性なしの夫をかかえ

バリバリと仕事をこなしている晶子のバイタリティーに驚かされる。

妻子ある人だった夫を略奪して結婚したものの

肝心の夫は昔の女にうつつをぬかして、仕事などせぬ始末。

それでも、夫を棄てることなく、子どもたちを育て、多くの作品を残した

与謝野晶子という歌人の情熱がつまった、物語だった。

大杉栄、伊藤野枝夫妻が出てきたところで、同じく大学時代

野枝を主人公にした芝居「ブルーストッキングの女たち」に行ったのを

思い出した。偶然にも、野枝を演じたのは映画と同じ、石田えりさん。

拷問の塵となった大杉ら、数えきれない人たちの活動の上に

私たちの自由な言動が保障されているのだなあと

明治の女たちが築き上げた、たいせつなものたちについて考えたりして。

2012年4月 8日 (日)

「ダブル・ファンタジー」

「ダブル・ファンタジー」 村山由佳著 文藝春秋社

誰の言葉か忘れてしまったが、この分厚い小説を読んで

「他人に抱かれる度、少しだけ死んだ気がする」

というフレーズが頭の中をループして、終わらない。

主人公の奈津は結婚していながら、性的にオープンな人であり

脚本家という仕事上、知り合った男たちと切れることなく

夫とはできない営みを行い、自分の欲求を満たそうとする。

かといって、「寝る」ことだけが彼女を満たすのではなく

彼女が選ぶ相手の条件には「話がうまい」「尊敬できる」などの

要素も加味されねばならず、彼女は常に惚れてしまうのだ。

相手には妻がいて、最初は一晩だけ、ともにしたいと願う。

それが、終わった後にはもう一度会いたいと期待する。

二度目があったら、好きになってほしいとまで考えてしまう。

結局、メールをガンガン送る彼女を疎ましく感じた人もあれば

家庭とのバランスがとれなくなった人もあり

離れていってしまう男たちは、彼女の強欲なエネルギーに疲れるのだろう。

もっと、もっと。最後には愛してほしいとまで懇願する女は

自分がそういう女だと気づいていない節があるから、タチが悪い。

さらに厄介なのは、脚本家という仕事のせいなのか

彼女が相手の言動を深読みし、それでいて自分を抑制しようともがき

恋でも愛でもない、この状態をあまり楽しめていないことだと思う。

彼女には男が常時、必要なのだが、いたらいたで孤独を感じる。

かといって、男がいないと「自由ってなんてさびしい」と震えてしまうのだ。

女の欲深さと傷つきやすさと、さまざまな表情を読みながら

共感するかどうかは、大きく分かれる本かもしれない。

2012年4月 6日 (金)

「向田邦子の陽射し」

「向田邦子の陽射し」 太田光著 文藝春秋社

爆笑問題の太田さんは私と同じ昭和40年生まれで、同学年。

地元に戻って、TBS系列の深夜ラジオを聴くようになった頃

彼が心から向田邦子さんを敬愛していることを知った。

その数年後には当時、NHK教育テレビの番組で

向田ドラマのどこが素晴らしいのか、唯一無二のものなのかを

具体的なシーンを例に取りながら、解説してくださり

向田ファンでありながら、あまり分析したりしていなかった私にとって

「ほー」と唸るほど、太田さんは向田ドラマの深みを語っていたものだ。

以来、向田邦子全集文庫版の解説を書いたりと

多くの仕事をこなしてきた太田さんによる、向田作品の解説本というか

向田さんへのある種のラブレターがこの本だと思う。

「向田作品は不道徳でありながら、上品である」という太田さんの評価は

私も本当にそうだなと考えている。

人間がいかに不道徳で、清濁あわせ持つ存在で

白も黒もない、善も悪も混ざり合った複雑なものであることを

向田ドラマや小説は、一見ふざけたフリをしながら、ユーモアをまぶしつつ

見る者や読む者に、容赦なく伝えてくれるのだ。

昭和4年生まれの向田さん。あの飛行機事故がなければ

いまもお元気でいらしたら、2012年の日本にどんなドラマを書いただろう。

いまだに新しいファンを獲得し続ける向田さんの魅力とともに

批評家としての太田さんの筆力が感じられる一冊。

2012年4月 4日 (水)

NHK 復興支援ソング「花は咲く」

4月3日、テレビ各局のお天気情報を確認するため

ザッピングしていたところ、NHKで「みんなのうた」をやっていた。

たまに放送している昔の歌だったのだが、知らなかったので

ぼんやり眺めていたら、二曲の歌の後、この「花は咲く」のMVが流れた。

私はNHKでやっていた震災支援コンサート中継を見ていなかったし

この支援ソングの存在をまったく知らなかったのだが

「がんばろう」「絆を」と直接的な歌詞ばかりの支援ソングが多い中

この「花は咲く」は、ある種、「みんなのうた」のような曲だった。

ミュージックビデオは、被災地出身の芸能人たちがワンフレーズずつ歌い

みんなが一輪の花を持って、静かに歌い上げているのを撮っているだけ。

歌詞・ビデオ演出は岩井俊二監督、作曲は菅野よう子さんで

残念なことに現在はガラケーからしかダウンロードできないが

5月にCDが発売され、著作印税などが寄付されるシステムらしい。

NHKのサイトでは曲の一部しか聴くことができないが

歌詞と曲(楽譜)に触れることは可能。

また、ユーチューブでは坂本龍一氏のラジオ番組に岩井氏が出演して

流されたと想像される曲の音源を1番は全部、聞くことができる。

いままで、さまざまな復興支援ソングがあったけれど、この曲は

童謡っぽくもあり、歌詞も平易で、それでいて胸に届くものだった。

NHKさん、ユーチューブにミュージックビデオ全編をアップしなはれ。

あと、PC配信もしなはれ。スマホでもダウンロードできるようにしなはれ。

と、「ご意見メール」したい衝動をおさえ、ユーチューブの音源を

何度も聴き、目から水は幾度も落ちて、消えるのだった。

http://www.nhk.or.jp/ashita/themesong/

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