「さらば雑司ヶ谷」
「さらば雑司ヶ谷」 樋口毅宏著 新潮社
TBSラジオ「キラ☆キラ」のパーソナリティでもある、浅草キッドの
水道橋博士が昨年、猛烈にプッシュしていた本「民宿雪国」作者の
デビュー作。最近、文庫化され、解説には水道橋博士と
映画評論家の町山智浩氏が寄稿されたそうな。
「民宿雪国」の世界にいまいち、馴染めなかった私。
その危惧はビンゴで、ツイッターで人々が熱烈に賛美するほど
自分の中には、入ってこなかった。
たとえば、これも昨年、一部マニアの署名運動によって
日本公開が実現した映画「キック・アス」。
たとえば、マフィアやギャングを題材としたノワールと呼ばれる
数々の映画群。
そこにあるのは、暴力と殺戮と鑑賞する者を置いていくほどの
スピード感だったりする。
暴力が日常にあり、他人を傷つけることに躊躇のない人生を
ファンタジーとして、もしくはある種のリアルな物語として読めるほど
私自身、そして自分の人生に「他者への暴力」は存在しないのだな
と、咀嚼しきれない小説を読み終わって、あらためて思う。
巻末には、著者がオマージュを捧げた作品が列挙されてあったが
残念なことに、ほとんど縁のないものばかり。
これでは、本作の理解度もかなり低いと言わざるを得ない。
「攻殻機動隊」の暴力が受け入れられて、これがダメなのはなぜなのか。
いろいろと考えてみたけれど、まだ答えは出ていないわけで。

